2009/05/17

ゴルの虜囚 9 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン

2. 首輪(4)

 寝室に駆け込んでざっとあたりを見回し、慌ててリネン入れからシーツをまとめてわしづかみにしました。テラスに走り、桟の向こうを見ると気持ちが悪くなりましたが、15フィートほど下には小さなテラスがあります。この建物にはいくつも出っ張りがあり、そのひとつが下の階に通じています。太陽の光の中、灰とすすのかけらが降り注ぐ外の空気が目にしみました。シーツで作ったロープの端を、パティオとテラスを囲む腰の高さの壁の、小さな鉄の手すりにしっかり結び付け、もう片方を下の小さなテラスに注意深く降ろしました。あんなに怖かったことはないし、あんなに勇気がいることもないでしょう。
 ドアがまた苛立ちを含んだ音でノックされはじめました。
 何か着ようと寝室に戻ったとき、重いドアに体当たりする音が聞こえました。
 パティオを見ました。シーツのロープを両手で降りなければならないので、ナイフは持って行けません。口にくわえて運べば良かったのですが、パニックに陥っていたので思いつきませんでした。ちょうつがいと鍵からドアが外れ、ドアが破られそうな音が寝室まで聞こえました。包丁を枕の下にぎゅっと押し込み、パティオに駆け戻りました。恐ろしいので下は見ず、シーツで作ったロープをしっかり掴みました。息もできないほど胃がむかむかします。手を交互に動かして降りて行きました。桟を越え体が見えなくなったとき、ドアが完全に破られ、男たちが部屋に入ってくる音が聞こえました。下のテラスまでほんの15フィートほど降りれば大丈夫だわ。下の階の人の注意を引くか、必要であれば椅子か何か、とにかく見つけたもので、窓ガラスを割って入れば良い。
 上のわたしの部屋から怒号が聞こえました。
 ずっと下の通りの喧騒は聞こえませんでした。下を見る勇気もありません。
 びくびくしながら、少しずつ降りて行きました。
 頼りなく空中にぶらさがり、ぴんと張ったねじった揺れるシーツを掴むわたしの体に、風が強く吹き付けました。
 下から往来の音、車のクラクションが遥か遠くからのように聞こえました。
確実に、下のテラスに降りて行っているだけのことよ。うまくやっているわ。
上の手すりの結び目が、少しゆるくなったので、悲痛な叫び声を上げ、シーツをもっと強く、更にみじめにしがみつきました。
下のベランダはまだなの?
更に降りていきました。
もう一歩。
下のテラスの腰の高さの壁の手すりに向かって足を伸ばそうとして、少し勇気を出して足を動かしました。
体がレンガの壁にぶつかりました。
もうすぐシーツを握る力も尽きてしまうかもしれません。
手すりはどこなの!
シーツを掴んで身をよじりました。
下のテラスはまだ通り過ぎてないことは確かだし、体が回転したから後ろにあるはずだわ。
シーツが届かなくても、登って戻る体力はありません。
上を見上げると、シーツを結びつけた自分の部屋のテラスの手すりが見えました。
また体が壁にぶつかりました。
どこにも届かないし、しがみつく所もありません。
一歩、また一歩と体を下ろしていきました。
手すりはどこなの!
そのとき、腰の高さの壁の手すりの感触がありました。また身をよじり、片足を降ろしました。手すりの内側、壁の内側にいるんだわ!
テラスのタイルに足がついた感触がありました。
体が崩れ落ちそうだったけれど、嬉しくて歓声を上げました。
あいつらを出し抜いてやったわ!
エリノア・ブリントンの機知に敵うと思った?
バカじゃないの?
わたしは無事よ!

何か柔らかくて、折りたたまれた白いものが頭の上から目の前にすべり落ちてきて、口の奥まで押し込まれました。折りたたまれた布切れがもう一枚頭の上から落ちてきて首の後ろにきつく結ばれ、叫ぼうとしたけれど、声が出ませんでした。
「女を捕獲した」
という声が聞こえました。

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訳者の言い訳と解説
 今回は非常に緊迫したシーンにも関わらず、形容詞・副詞がどっちに係るかわからなかったり、
うまく日本語にできないところが多くて、自分でもガタガタだと思います。
でも今のわたしの力量じゃこれが精一杯なので、
いずれ大幅に改訂するつもりです。

・15フィート=約4.57m

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