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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
3. 絹の紐(10)
アパートの駐車場に入りました。
ハンドバッグから車のキーを見つけて、大急ぎで、にこやかに係員に渡しました。
「どうかしたんですか、ブリントンさん?」
「ううん、なんでもないの」
それでもわたしを見ているようでした。
「急いでちょうだい!」
係員に頼みました。
彼はさっと帽子に手をやり、むこうに行きました。
待っている時間は何年もに感じて、心臓の鼓動を数えていました。
完璧にチューンナップされたエンジンの音が小さく聞こえ、特注のマセラティがカーブをさっと曲がってきて、係員が降りてきました。
紙幣を握らせました。
「ありがとうございます」
係員はうやうやしくも、気遣わしげにしていました。彼は帽子に手をやり、ドアを開けてくれました。
わたしは顔を赤らめて、スーツケースとハンドバッグを車の中に投げ込み、係員を退けました。
運転席に座ると、係員がドアを閉めてくれました。
彼はこちらにかがみこんで、
「大丈夫ですか?ブリントンさん」
と訊ねてきました。
「ええ!大丈夫!」
車のギアを入れて発進するとタイヤの甲高い音だけがして、十フィートほど横滑りしました。
係員はスイッチで駐車場のシャッターを上げてくれ、わたしは道路に走り出しました。熱い八月の夜の中へ。
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訳者の言い訳と解説
チップは"I thrust a bill in his hand."なので1ドル札だと思います。
1ドル札って訳すのとどっちが良いんだろう。
→ makoさんのご意見を参考に紙幣にしました~。
マセラティ1972年型(CAPTIVE OF GORの発行年)ってこんな車。
これをカスタマイズしたんだね。
色の記述はあったっけ?
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