2009/05/28

ゴルの虜囚 56 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


6. 奴隷商ターゴとの邂逅(6)

 突然わたしははっとしました。その言葉を以前に聞いたことがあります。わたしのペントハウスでベッドに縛り付けられたとき、あの小さい男がわたしに触れると、背の高い男が厳しく怒って小さい男に言った言葉。そして小さいほうの男が顔の向きを変えました。
 ターゴが話す言語の何に良く知ったものがあるのかは、わたしを打ちのめしました。たった一言二言聞いたことがあるだけです。わたしを捕まえた人たちの対話はもっぱら英語だったので、全体から見て少なくとも、彼らの母国語は英語だと推察していました。でも、他の者たちに指示をする背の高い男のアクセントを思い起こしました。外国人として特徴あるアクセントのしゃべり方の英語でした。でもこの、遠く離れた世界で同じか似たようなアクセントを耳にしました。ただ、ここではアクセントではないのですけれど。ここでは自然な響きで、リズムも声の抑揚も、聞いたところ独立し、疑いもなく洗練された土着の言葉なのです。わたしは怖くなりました。この言語はわたしの耳には奇妙に聞こえるものの、不愉快でもありません。力強いけど、それ相当にしなやかで美しいのです。怖くなったけれど、勇気付けられもしました。ターゴはわたしの態度の違いに気付き、わたしのと意思の疎通になおいっそう努力しました。当然、それでも理解できませんでした。
 怖くなりました。捕獲者のボスとグループの他の人たちの言語だか言葉みたいだからです。逆に、勇気付けられもしました。同じ言葉を話すなら、わたしの世界に戻してくれる技術力も持っている人たちのはずです。
 でも信じがたくもありました。
 今気付けば、この男たちはわたしが持っていたようなピストルも、ライフルも、わたしを捕獲した人たちが持っていたような小型の武器でさえ、銀色の船の人たちが持っていたような銀色っぽい管や杖も、持っていません。さらに驚いたことに、もはやおかしいことに、脇に小さな剣を身につけていました。二人は背中に弓か何かのような、柄はないけどライフルみたいなのをつり革で吊っていました。他の四人はいわゆる槍を携えていました。やりは大きくて、湾曲したブロンズ色の矢尻が付いていました。重そうで、わたしには投げられそうにないものです。
 ターゴと呼ばれる男を除いては、チュニックを着ていて兜をつけていました。その人たちはより怖く感じます。兜の開いているところは、漠然とYの字を思わせました。左肩に、鞘に入った剣を吊っています。重厚なサンダルを履いていて、太い紐をひざまで編み上げていました。何人かは、ナイフのような小さいナイフも革のベルトに携えていました。ベルトに袋もつけていました。
 

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訳者の言い訳と解説

 結構長い間考えてもわからないところがあって、
mixiのあるコミュで教えていただきました。
教えてくださった方々、本当にありがとうございます。

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