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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
5. 三つの月(8)
走らなくちゃいけないわ。歩かなきゃいけないわ。そして何時間かよろよろと歩きました。
一度休もうとして立ち止まりました。息を切らして草の上に横たわりました。目を閉じると、カサカサと音が聞こえました。顔を向けて目を開け、びっくりして見ました。つる性の巻きひげと葉のあるものでした。閉じたり割れたりした豆の鞘が、こっちに向かって動いてきました。地面からかすかに持ち上がり、あちらからこちらに動いていました。鞘の中の上の面には、二つの長い角のように曲がったとげが、しっかりと付いているのが見えました。わたしは悲鳴を上げて飛び起きると、それが突然ぶつかってきて、右足のパンツの布を引き裂きました。布を破って足を引き離しても、何度も何度もぶつかってきました。植物には根があるし、届かないところにいるのに、においか体温を感知しているかのようです。頭を後ろに傾け、頭の脇を手で押さえて悲鳴を上げました。近くで別の物音が聞こえました。思い切って見回すと、別の同じような植物があと二つありました。そして他にも。汗をかきながら、その地帯から用心して歩いて逃げました。そのうち草の開けているところに着きました。
何時間も走り続け、歩き続けました。ついにはだんだん寒くなり、暗くなってきました。
遠くには行けないわ。
草の上に倒れこみました。
暗くて、美しくて、風のある夜でした。白い雲が風に運ばれ、空を渡っていました。星を見上げました。こんなにきれいな星は見たことがありません。星が夜の暗闇に、きらきらと輝き燃えていました。
「なんてきれいな世界。なんて美しいの!」
独り言を言いました。仰向けになって星と月を見上げました。
月は三つ。
わたしは、眠りに落ちました。
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訳者の言い訳と解説
第5章終了です。
遂に連載50回目!読者様のおかげです^^
ありがとうございます。
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