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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
6. 奴隷商ターゴとの邂逅(2)
だいたい午後の中ごろ、草深い二つの丘の間の緩やかな坂に腰を下ろしました。
助かる見込みはあるかと考えました。
冷笑しました。ここはわたしの世界ではないとわかってるわ。わたしを運んできた船は、この種の自分の限られた知識からしても、現在の地球の文明の能力をはるかに超えています。わたしを捕らえた船の乗組員は確かに人類か、人類のようでした。銀色の船の人たちも、大きくて繊細な金色の生き物以外は、人類のようで、より人間らしく感じました。
でも黒い船は壊れてしまった。銀色の船も行ってしまった。多分、他の世界へ。
それでも助かりたいのよ!助かるわ!助かるに決まってる!
とても怖いわけでもなくなっていました。
この世界でも生きていけるわ。
でも、孤独。
ここには恐れるものは何もないと、自分に言い聞かせました。食べるものも、水もあります。ベリーを見つけたんだから、他にも果物とか、木の実があるに違いないと思いました。
わたしは笑い、自分を励ましました。
それから、寂しくて寂しくて泣きました。わたしは一人ぼっちなんだ。
はっとして顔を上げました。空気を貫けて、間違いようもなくどこかから、叫び声が、人の声が聞こえたのです。
乱暴に飛び上がって、よろめきながら丘を駆け上がりました。頂上で見回し、見下ろしてから、大声をあげて手を振り、丘の脇を駆け下りました。よろめきながら、叫びながら、手を振りながら。目には喚起の涙が浮かびました。
人だわ!助かるんだわ!あの人たちは食べ物も、雨露をしのぐところも、水も持っているでしょう。救われたんだ、安全だわ!安全なんだわ!
「止まって!止まって!」叫びました。
荷車が一台。荷車の周りには七、八人男がいました。動物はいません。前には草の上に、服を着ていない娘が十五~二十人ほどいました。彼女たちには引き具が付けられているようでした。男が二人、娘の近くに立っていました。荷車は傷んで、ところどころ黒いしみが付いていました。青と黄色の絹の幌は破れていました。荷車の前には、青と黄色の縞の絹のローブをまとった背の低い太った男がいました。みんな驚いて、こっちを向きました。
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