2009/05/17

ゴルの虜囚 16 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン

3. 絹の紐(7)

 ベッドから飛び起きて、化粧台に走ると、気持ちが沈みました。もう0時30分じゃない!
心臓がどきどきします。
顔からさるぐつわをずり降ろし、口の中から大きなすっぱい詰め物の塊を取り出しました。すると突然具合が悪くなり、手足をついて崩れ落ち、じゅうたんの上に吐いてしまいました。頭を振ってから、首の周りに下ろしたさるぐつわを包丁で切りました。
 もう一度頭を振りました。
 真夜中の、0時35分。
 衣裳部屋に駆け込み、最初に触った服を掴みました。皮色のベルボトムのパンツと、黒いボタン止めのベア・ミドリフのブラウス。
 服を抱え、肩で息をしました。部屋の向こうを見ると、心臓が止まりそうでした。街の明かりでほの暗い部屋に映る影に、女が一人いました。裸で、何かを前に抱えていて、首の周りには金属の輪が付いていて、太ももには、しるし。
「イヤ!」
わたしたちは、一緒に叫びました。
 息も絶え絶えで、めまいがしました。気持ちが悪いわ。部屋の向こうの姿身に映る自分に背を向けました。
 パンツをはき、ブラウスをすばやく着て、サンダルを見つけました。
 真夜中の、0時37分。
 また衣裳部屋に戻り、小さなスーツケースを引っ張り出しました。三連チェストの足元に投げ出し、服を突っ込みバタンとスーツケースを締めました。
 ハンドバッグを掴み上げ、スーツケースを持ってリヴィングに走りました。小さな油絵の向きをぐるりと変え、壁に埋め込まれた金庫のダイヤルを手探りしました。わたしはいつも15,000ドルほどと、ジュエリーを備えておいていました。開口部でお金とジュエリーをかき集め、ハンドバッグに突っ込みました。


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訳者の言い訳と解説

・ベルボトムってところに時代を感じますね。
"CAPTIVE OF GOR"が発行されたのは1972年。
60年代中期にパリコレで発表、70年代後半まで流行ったそうです。

・ベア・ミドリフって、横隔膜までの丈の服です。
ミドリフ丈って言うと、下着を思い出しちゃうんだけど、
日本語では何て言うんだろ?やっぱりミドリフ?

・壁に埋め込まれた金庫って、つまりは「壁金庫」なんですけれど、
わたしは壁金庫ってピンとこなかったので、壁に埋め込まれた金庫にしちゃいました。

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