→ 目次
<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
2.首輪(1)
鏡の前の厚いじゅうたんの上に、どのくらいの間倒れていたかわかりません。
カーテン越しに見える太陽の位置からすると、1時間以上でしょう。
両手をついて体を起こし、ひざまずいて鏡を覗き込みました。
頭を抱えて首を横に振り、狂ったように叫びました。
首に巻かれた輪をしかっかりつかみ、もぎ取ろうとしました。気を失っている間に首輪をはめられていたのです。
首の周りにぴったりとついた金属の輪は、優美にきらりと光っていました。
頭を働かせ、単純にうしろに手を回し留め金を外して首から取ろうとしました。手探りしても留め金はありません。首とほとんど隙間もなかったので、ゆっくり慎重に輪を回し、鏡を見て調べました。留め金はありません。ただ、しっかり錠のかけられた小さな鍵穴らしきところがあるだけでした。のどのところで鍵がかけられていたのです!輪には何か刻まれていましたが、知らない文字で読めませんでした。
また部屋が暗くなっていくような気がして、くらくらしましたが必死で意識を保とうとしました。
首輪をつけるために誰かがわたしの部屋に来て、まだここにいるかもしれない。
顔を下ろすと、髪がじゅうたんに、手に、ひざにかかりました。頭を振って、じゅうたんの毛を引きちぎりました。
意識を失っちゃいけない。理性を失っちゃいけない。
0 コメント:
コメントを投稿