2009/05/17

ゴルの虜囚 34 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


4. 奴隷のカプセル(4)

 わたしは悲鳴を上げ、体の向きを変えて走ろうとしました。男がわたしを掴んだので、ハンドバッグから肉切り包丁をもぎ取り、荒々しく切り付けました。男は痛みに悲鳴を上げ、切れて血の出た袖を押さえました。わたしはよろめいたけれど、走ろうとして立ち上がりました。しかし男たちがわたしの周りを取り囲んでいます。包丁を振り上げて狂ったように攻撃しました。すると、手も手首も腕もすべてが、信じられないくらい麻痺する何かの衝撃を感じ、包丁が手から落ちました。腕が痛んでゆっくりと下がりました。指を動かすこともできません。痛みにうめき声を上げました。一人が包丁を拾い、別の男がわたしの腕を取り、背の高い男の前に突き出しました。わたしはうずくまって背の高い男を見上げ、涙を浮かべてすすり泣いていました。
 背の高い男は、小さな道具をジャケットのポケットに戻しました。小さな懐中電灯に似ていて、その光線がわたしを打ったのですが、見えませんでした。
「痛みはすぐ治まる」
背の高い男がわたしに告げました。
「お願い、助けて」と頼みました。
「お前はとびきりの上玉だ」
男は言いました。わたしは痺れながら男を見ていました。
 わたしが包丁で切りつけた男は、自分の腕を押さえながら背の高い男の後ろでニヤニヤ笑っていました。
「腕の手当てをしておけ」
背の高い男が言うと、もう一人がまたにやりと笑ってから、向きを変えてトラックのほうに行きました。

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