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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
5. 三つの月(4)
制御室らしきところを見つけました。椅子が二つと、椅子の前には大きな窓がありました。この部屋には、脇にたくさんのダイヤルや計器、スイッチの前に椅子がもう二脚あって、全部で椅子は四脚でした。エンジンルームは見つけられませんでした。この船を操縦するのがどんな力であるにせよ、床の板を通じて届くのでしょう。この船のエンジンも武器も、武器があるとしたらですが、制御室から操作するに違いありません。わたしが監禁された、硬いプラスチックのシリンダーが置かれていたエリアを見つけました。シリンダーは全部開けられていて、中身は空でした。
後ろから音が聞こえたので悲鳴を上げました。
小さな毛のある動物がちょこちょこ走りすぎて、爪で鉄の板を掻いていました。その動物には足が六本ありました。わたしはパイプのある棚に寄りかかり、息をのみました。
でも今は怖くなりました。
船には誰もいません。
みんなどこにいるの?この船は壊れてるのに、体もない。もし生存者がいるなら、どこに行ったの?すぐに戻ってくるの?
船の中心部に戻り、大きな鉄の裂け目をもう一度見ました。わたしには、単純な事故が原因ではないように思えました。裂け目は四つです。一つは船の底の方、5フィート四方くらいです。二つは左側で、一つ目より小さ目でした。わたしが船に入った裂け目が一番大きいものです。鋼の花弁のように裂けて開いていて、高さ9フィート以上、左側の巨大な深い傷は、高さわずか4インチほどに下向きに先細りして裂けていました。もちろん、船には中にも外にもおびただしい損傷がありました。穴が開いていたり、板が曲がったり、そんなふうです。たくさんの曲がった板からして、この船は衝突したかもしれないと推測しました。もう一度、大きな裂け目を見ました。この船が攻撃されたと考えられなくもないと思いました。
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