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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
5. 三つの月(7)
しばらく経っても何も起きなかったので、顔を上げました。
銀色っぽい円盤は、半分埋まっている黒い船の裂け目の近くに着陸していました。
黒い船は赤っぽく輝いていましたが、数分後には輝きが消えて行きました。
銀色の船のハッチが開き、男たちが飛び出してきました。銀色の管か杖のようなものを運んでいて、多分武器です。彼らは黒い船の人たちのようにチュニックを着ていましたが、光沢のある紫っぽい素材でした。髪は剃られていました。男たちの何人かは船の周りを取り囲み、別の男たちは武器を持って中に入ってゆきました。
それから恐ろしいことに、大きくて金色の生き物が、足は六本あって後ろの長い四本で体を支え、まっすぐな姿勢で銀色の船から出てきました。大きな目で、触覚だと思われるものがありました。その生き物は、すばやく、繊細に、上品ともいえる動きで船に向かい、四つんばいで黒い船に消えました。男たちが何人か後に続きました。
恐らく一分以下で、その生き物と男たちが船から現れました。従者とともに銀色の船にまた入ってゆきました。ハッチが閉まると同時に、音もなく草から数百フィート上昇し、黒い船の残骸の上で動いていました。突然青っぽく光り、高熱の光で爆発が起きました。わたしは頭を下げました。頭を上げたときには、銀色の円盤はいなくなっていました。そして黒い船の残骸も。黒い船があった地面のくぼみと、その周りが数十フィートほどの地面が焦げていました。それなのにボルトもガラス片も、鉄くずも、何もかも見つけられませんでした。
森の向こうから、また大きな動物の咆哮が聞こえました。
わたしはもう一度背を向けて逃げました。
前に水を飲んだ小川まで来たので、歩いて渡りました。
何かが足首に当たり、刺さりました。叫び声を上げ水を蹴散らして渡りました。
それからまた走りました。
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訳者の言い訳と解説
多少ネタバレになりますが、
これまで反地球シリーズを読んできた人には、
金色の生き物は神官王、頭を剃られた紫のチュニックの男たちは
神官王のムル(奴隷)とわかりますね。
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