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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
3. 絹の紐(18)
窓から這い出ました。小さなスーツケースはバンガローに置いてきましたが、ハンドバッグは大事なので持ってきました。15,000ドルとジュエリーが入っています。一番大事なのは、車の鍵です。
急いで車に乗り込みました。誰にも邪魔されないうちにエンジンをかけ、ギアを入れて加速しなければなりません。エンジンはもう暖まっているから、すぐに発車できるはずです。
うなりを上げほとばしり、マセラティにぱっと命が灯り、石を蹴散らし後輪から土煙をあげて、バンガローの角を飛ばして走りました。
ハイウェーの入り口で急ブレーキを踏んでから、舗装された道の分かれ目を急発進すると、タイヤの音が響き、タイヤの焼けた匂いがしました。ハイウェーを、轟音を立てて進みました。何も見えません。車のライトを点けました。何台か近づいては通り越して行きました。
後ろには何もないようでした。
わたしの身が安全だとは信じられないけど、追っ手はいません。
片手で黒いベア・ミドリフのブラウスのボタンを手探りし、ボタンをかけました。それからハンドバッグから腕時計を探しだし、腕にはめました。
4時51分。
まだ暗いけれど、八月だからすぐに明るくなるでしょう。
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