2009/05/17

ゴルの虜囚 36 【CAPTIVE OF GOR】

 → 読む前の注意
 → 目次

<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


4. 奴隷のカプセル(6)

「離して!お願いよ!お願いだから!」わたしは叫びました。
「時間がないぞ!早くしろ!」
黒いチュニックの男が急き立てました。
「ハンドバッグを持って来い」
背の高い男が穏やかに言いました。わたしが逃げようとしたときに落としたところから、ハンドバッグが持って来られました。
 背の高い男がわたしを見て、訊ねました。
「お前がどうやって後をつけられたのか、気になるんじゃないか?」
 わたしは痺れながらもうなずきました。
 男はハンドバッグから、あるものを取り出しました。
「これはなんだ?」
「わたしのコンパクトよ」
 男は微笑み、コンパクトをひっくり返して底をねじ開けると、中には信管の付いたちっちゃな筒がありました。それは細かい銅色の線に覆われた、丸い板状でした。
「この装置は、百マイル離れていても我々がキャッチできる信号を送るのだ。同じような装置が車の下にも隠されている」
 わたしはうめきました。
「あと6エーンで夜明けだ」
チュニックの男が言いました。
東に明かりが見えましたが、彼が言っていることはわかりませんでした。

0 コメント:

 

About Me