<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
8. ローラの北での出来事(17)
もっと午後遅くなると、収容所ではパーティーがありました。ふさ飾りの付いたとんがり帽子をかぶり、バカみたいなローブをまとった芸人が、ピエロの化粧をして、奇妙な動物を連れて収容所にやってきました。その芸人はタルン銅貨一枚で収容所での興行をします。わたしたちは、村娘たちでさえもターゴにねだって興行を許可してもらいました。ターゴの承諾で、スキャーンのホーコンの収容所と共有の壁から離れた、離れた側の柵の近くの狭い広場を、動物を連れた小柄な芸人が片付けました。わたしたちと100人の村娘は喜んで、見ようとして柵に押し寄せました。漠然と、バカみたいなローブを巻きつけ、顔に色を塗った背の低い芸人を、なぜか知っているような気がしましたが、ありえないはずです。ばかばかしい!芸人は柵の前で踊ったり宙返りをしたり、ばかばかしい歌を歌ったり思案した。背が低く痩せた男で、身が軽かったです。目と手がすばやく動きました。それから笑える話をしてジョークを言いました。シルクやスカーフを使ったマジックや、ベルトに付けていた色の付いた輪でジャグリングもしました。それから策越しに、娘たちの髪からコインを見つけるそぶりをしました。嬉しいことに、わたしの髪からはタルスク銀貨を引き出したようです。娘たちは羨ましがって歓声を上げました。見つけたコインで一番高価です。わたしは嬉しくて頬を赤らめました。ラナはそれほど楽しんでいませんでした。わたしは笑いました。みんなも楽しくて笑って手を叩きました。その間獣は眠っていたようで、芸人の後ろの草の上に丸まり、衛兵が鎖を持っていました。
それから芸人はお辞儀をして動物の方を向き、衛兵から鎖を受け取りました。不意に威厳を持って言いました。
「目覚めよ、ねぼすけ君!気をつけ!」
わたしたちはその獣を怖がりました。獣は良く飼いならされていて、飼い主の命令にとてもよく従って良かったと思いました。
獣はゆっくりと後ろ足で体を持ち上げ、つめのある足を挙げ口を開けました。
何人かの娘は悲鳴を上げました。わたしも柵からどいて尻込みしました。獣は信じられないほど醜悪で、目が大きく、毛に覆われたものでした。耳は幅広くて尖っています。立つと8,9フィートほどの高さです。重さは700か800ポンドでしょう。革のような鼻には大きな二つの鼻の穴があります。口は大きくて男性の頭も咥えられるほどの大きさ、そして頑丈な牙が二列に淵どっています。さらに長くて曲がった大きい犬歯が犬と同じ位置に四本あります。上あごの二本の牙は、口を閉じても横にはみ出しています。長くて薄黒い舌をしていました。前足は後ろ足より大きかったです。後ろ足と前足の膝(しつ)関節突起で立ってよろよろと動いていると見ていましたが、今は前足は腕や手のようではないと思うものでした。その上、やすりをかけて鈍くなった、伸ばさない爪が触手のように、六つの指に継いでありました。芸人が鋭い声で野獣に命令を出して実演するのに応じて、出したり引っ込んだりさせられる爪が、後ろ足にもありました。
恐らく一番ぞっとするものは目です。大きくて、黒い瞳孔。一瞬、その瞳がわたしを見据え、動物がではなく、動物ではない何かが見るように、わたしを見ていると思いました。そしてまた、瞳は普通にうつろな、芸をする動物のものになっていました。
不安な気持ちを心から追い払いました。
0 コメント:
コメントを投稿