<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
8. ローラの北での出来事(23)
ラナとユートとわたしは、賭けをしている男たちに向かって一列に並び、ひざまずいていました。わたしたちの手は、縛りの革で背中側に縛られています。
男たちは賭けをしていて、私たちに肉を放ります。
火明かりの中、肉を取りました。キャッチしたら2ポイント。落ちた肉片は格好の標的です。わたしたちは落ちた肉片を奪い合いました。その肉を奪い返したら1ポイント。ユートが肉を取りこぼし、ラナとわたしが取り合いました。転げ回ってもぎ取り、それぞれが落ちた肉を食いちぎりました。わたしはひざをついてのけぞり、髪を片方に振り乱しました。「わたしの!」 笑ってむせそうになりながら、肉を飲み下しました。
「わたしのよ!」
ラナがわめき、肉をむさぼるように食べました。
「両方に得点だ」 と衛兵が判定しました。
わたしたちは興奮していて、もっとやりたいと思っていました。
「飽きたなあ」
衛兵の一人が言い、タルン銅貨をやり取りしました。
エレノア・ブリントンは衛兵のためによくがんばりました。衛兵はエレノアにご満悦です。こっちに来いと指を鳴らしたので、わたしはうれしさで胸いっぱいになりました。
飛び上がって駆けつけると、衛兵はわたしの顔を無造作に揺さぶって、いましめを解いてくれました。
「パガを持って来い」
わたしは大きな入れ物から移しておいたパガの大きな皮袋を取りに、荷車へ向かいました。
ラナとユートもいましめを解かれ、自分たちの担当の衛兵から命じられ、荷車に皮袋を取りに行きました。
パガの入った重い皮袋のひもを肩にかけ、急いで火明かりへと戻りました。ユートとラナも自分の分を持ち、わたしの後に続いています。
裸足の足に感じる草の感触が気持ち良い。諸刃の剣のように感じました。動きに合わせて体に沿うカミスクの粗い布の感触、歩くリズムに合わせて、体の脇で重く揺れる皮袋が肩を引っ張る感触。
火の遠く向こうには不規則な境界線のように、裂けた柔らかな闇のふちがゴルの煌く星たちを覆っていました。北の森の境界線の暗闇がそびえています。はるかかなたに、獲物を狩るスリーンが吼える声が聞こえ、わたしはぶるりと身を震わせました。
男たちの笑い声がして、わたしはまた火のほうへと戻りました。
収容所に背を向けると、草地のそこここに火の灯りと荷車の群れが見えました。今日はパガの夜、お祝いの夜。明日、ターゴとその部下と商品は、川を越え、暁の塔と呼ばれるコ=ロ=バへの長い陸路を、そしてそこから輝けるアルへと苦しい旅路を行きます。この旅は長く険しいだけではなく、危険なのです。
「パガ!」 衛兵たちが声を上げました。
わたしは、衛兵のところへ急ぎました。
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訳者の言い訳と解説
コ=ロ=バのthe Towers of the Morningって、
6巻まではなんて訳されてるんだったかなあ・・・。忘れちゃったよ。
輝けるアルとか暁の塔コ=ロ=バって言うのは、
花の都パリとかそういう形容詞的な文言。
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