<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
8. ローラの北での出来事(24)
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「ラナに踊らせて」 とラナが甘えた声を出しています。
足を組んで座っていた衛兵が、傍らに跪いたわたしに肉を手渡したので、口で受け取りました。大きな入れ物から移したパガの袋を持ち上げて押しつぶし、衛兵の口の中へと液体を流し込みました。外側が焦げた肉にかぶりつくと、中は赤く、熱く、レアで、肉汁があふれていました。
衛兵は片手で、パガはもう良いという身振りをしました。
皮袋にひもで留めてある栓をしてから、わきの草の上に置きました。
目を閉じて、口の中、歯の上、そして唇に舌を這わせ、外側の焦げた熱いレア肉の肉汁と風味を味わいました。
明日わたしたちはコ=ロ=バへ旅立ち、そこから豪奢な、輝けるアルに向かうのです。
目を開けました。
炎はとても美しく、荷車の幌の上に影が落ちています。
ユートのハミング。
「踊りたいの」 ラナは衛兵の一人の腰に頭を乗せ、傍らに寝そべっていました。男の体をチュニックの上から噛み付いています。「踊りたいのよ」 とせがみ続けていました。カミスクの隙間から覗くラナの体は、とてもきれいでした。
「それも良いかもしれないな」 と、衛兵が煽ります。
この衛兵たちはわたしたちをとても気に入っていて、嬉しいことに柳のバスケットに入った小さい瓶のカ=ラ=ナ酒を買っていてくれました。分けて一口ずつ飲むことを許可されました。これほどリッチで繊細なワインは、地球でもこの世界でもまだ、味わったことはありませんでした。女奴隷にすら与えても良いほど、とても安くたっぷりと、タルン銅貨だけで買えるのです。わたしが飲んだ4口のひとくちひとくちを憶えています。今でも食べた肉とパンの味を憶えています。あれが初めて味わうゴルの発酵した飲み物でした。
わたしが跪いていたそばの衛兵の手を取って自分の腰のくびれに引き寄せ、わたしを繋いでカミスクに二重に巻いた縛りの紐の中へと、男の指を滑り込ませました。カ=ラ=ナは女に効果があると言われています。それは本当だと思います。
衛兵は突然ひもを締め上げ彼の方へ引き寄せたので、わたしは息を飲みました。
お互いを見つめ合うわたしたち。
「わたしをどうするおつもりですか、ご主人様」
衛兵は笑い、「お前はいたずらなスリーンだな」 そう言って縛りの紐を放しました。わたしは衛兵のほうに手を伸ばしました。彼は大きなサ=タルナ・パンをわたしの手に押しつけ、「食え」 と言いました。
彼を見て微笑み、両手にパンを持って食べ始めました。
「スリーンめ」 と彼が微笑みます。
「ええ、そうです。ご主人様」
「ターゴに身ぐるみはがされてしまう」と衛兵がつぶやきました。
「そうですね、ご主人様」
わたしは微笑みました。
「この娘はただのホワイト・シルクじゃないの。ラナはレッド・シルクよ。わたしにあなた様を悦ばせろとおっしゃって」
「ラナなんかにウルトを悦ばせられられないでしょ」と言ってやりました。
ユートと衛兵たちが笑うと、ラナは怒って金切り声を上げて飛び掛ってきました。衛兵がラナの足首を掴んだのでわたしには届かず、怒り狂って大声を上げました。衛兵はラナを引きずって、足を上にして持ち上げました。
別の衛兵がラナのカミスクを留めて二重に巻いた縛りの紐をほどいて捨てました。それからカミスクをむしりとり、ラナは衛兵の足元へと投げ出されました。ラナは恐怖に満ちた目で男たちを見上げています。ラナはぶたれてしまうの?
「そんなに元気が有り余っているなら、踊ってもらおうじゃないか」 と、ラナからカミスクを剥ぎ取った衛兵が言いました。
ラナは嬉しさに目をきらきらと輝かせて見上げました。「ええ、ラナに踊らせて」 そしてわたしを憎しみを込めた目で睨んで叫びました。
「男を喜ばせられるのは誰なのか、わからせてあげる!」
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訳者の言い訳と解説
肉を食べるシーンはエッチな感じに翻訳すべきだというのは、
わかってはいるんだよ。
できてないだけで。
しょぼーん。
スリーン、ウルトというのはゴルの動物。
このブログのどこかにどんな動物か説明があるので探して読むよろし。
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