<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
8. ローラの北での出来事(18)
芸人が獣の腕試しをしたので、わたしはみんなとゴル式に右肩をたたいて拍手しました。
もう獣はコミカルにでんと座り、空中で指をぱたぱたさせていました。そしてごろごろ転がって、哀れっぽく鼻を鳴らしておねだりしていました。
たびたび、獣が特に上手にパフォーマンスしたら、芸人はローブの大きなポケットから取り出したボスク肉のかけらを抛ります。時には叱り、肉を出し惜しむと動物は叱られた子供のように下を向いて、顔を横に向けます。そうして芸人が肉片を与えます。衛兵たちも奴隷娘たち同様に芸を楽しみました。ターゴさえも、青と黄色の奴隷商人のローブをまとったおなかを抱えて笑っていました。時に芸人は、獣に抛るための肉を奴隷娘にも与えます。ラナは誰よりも懸命におねだりして、肉をほとんどもらっていました。ラナは勝ち誇った視線をわたしに投げかけました。わたしはたった一片をすばやく抛りました。この獣が怖い。ラナはちっとも恐れていないようでした。肉が巨大な牙の生えた口の中に消え、大きな丸い目が、眠そうに、満足そうにまばたきしました。奴隷娘たちが笑っています。そして、獣の目がまたわたしを見ていました。怖くて、口に手を当てました。でももうまたうつろでぼんやりした、獣の目になっていました。じきにまた、馬鹿だったと自分に言い聞かせ、みんなと笑っていました。
パフォーマンスの結びには、芸人は深々とお辞儀をして、曲げた腰に帽子を弧を描いて動かしました。わたしたちは自由な女になったみたいだった!すごく嬉しい!わたしたちは跳び上がって、満足して手をたたき、左肩を打ち、歓声を上げて柵越しに手を伸ばしました。嬉しいことに、わたしたちは奴隷なのに、芸人はこっちに来てわたしたちの手をとりキスをしてくれました。それから後ろに下がり手を振りました。
そして、名残惜しくも芸は終わりました。
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訳者の言い訳と解説
ついにと言うかやっとと言うか、この翻訳の連載も100回目を迎えました!!!
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