<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
8. ローラの北での出来事(27)
「男たちを火のそばに連れて来い」
「はい、ヴェルナ」
女たちは二人組みになって、衛兵たちを引きずり火のところへ戻って来ました。今や衛兵たちはさるぐつわをされ、意識が戻っているのは一人だけでした。毛皮を着た女の一人が髪をかき上げながら、その衛兵の前にひざまずき、のど元にナイフを当てていました。
何人かの女は棍棒を捨て置いて、腰に手を当てて男たちを見つめ、笑い声を上げています。
わたしは気持ちが高ぶっていました。彼女たちは闇の中から棍棒を持ちすばやく現れ、女を扱うごとく簡単に男を捕虜にしたのです。でもわたしも、縛られているのだけれど。
ヴェルナと呼ばれた背の高い金髪のリーダーは、しなやかな森の豹の毛皮、金の飾りをまとい、槍を持ち、ラナが縛られ口をふさがれて横たえられている辺りを大またに歩いています。槍でヴェルナはラナを転がし、仰向けにしました。ラナは恐ろしげに見上げています。ヴェルナの槍はラナののどに当てられました。
「踊りが上手だったぞ」
ラナが震えています。
ヴェルナは軽蔑の目を向け、槍を横にどけ、ラナのわき腹を容赦なく蹴飛ばし、「カジュラめ!」とあざ笑いました。
背の高い女はそれからユートのところへ行き、同じように蹴りつけて「カジュラ!」と言いました。
ラナは泣いていましたが、ユートはさるぐつわに涙を流していても声を上げませんでした。
「男たちを火の周りに座った姿勢で縛れ」
ヴェルナの手下たちの15人ほどが従い、重いチェストや荷車の轅を利用して縛っていました。
ヴェルナが近づいて来ました。
怖いと思いました。背が高く強そうです。野蛮な美しさの中に、猫のように狡猾な傲慢さを湛えていました。短い毛皮と金の飾りを身につけ、偉大で激しい女に見えました。槍の尖ったほうをわたしの顎の下にあて、顔を上げさせました。
「この奴隷たちはどうしてやろうか?」 と女の一人が言いました。
ヴェルナは振り返り、ラナとユートを見つめ、ユートを示しました。「カミスクを脱がせて、こいつらのご主人様の足元に縛っておけ」
ユートはカミスクを脱がされ、ユートとラナは輪にした縛りの紐で足と首を縛られ、二人の衛兵の足首につながれました。
またヴェルナの槍の先を顎に当てられ、顔を上げさせられました。
長い間わたしを見つめていました。「カジュラ」
わたしは否定して首を振りました。違う、わたしは違う!
女の何人かは荷車をあさり、食べ物、コインや飲み物、服やナイフなど、欲しいものは何でもかき集めていました。
0 コメント:
コメントを投稿