2011/04/11

ゴルの虜囚 103 【CAPTIVE OF GOR】

<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン

8. ローラの北での出来事(21)

ユートが嬉しそうに駆け寄って来て、わたしの腕をつかんで笑いました。
「今夜食事が出ても、あなたとわたしとラナは食事の列に並ばないの」

「どうして?」 わたしはうろたえました。地球では食にうるさかったのに、ゴルでは驚くべき食欲を発揮していました。夕食が食べられそうにないなんて、全然嬉しくありません。わたしたちは何をしてしまったんだろう。

ユートは柵の外の森のほうを指差しました。収容所から100ヤードほどのところに、荷車の一台がありました。そこでは5人ほどの衛兵が野営をしています。

「あの人たちがね、わたしたちに給仕をさせてくれってターゴに頼んだの」

わたしは嬉しくて、顔がほてりました。収容所の外に出たかったし、男のそばにいると楽しいですから。こんなにこじんまりと打ち解けた集まりにお仕えしたことはありませんでした。その上、わたしがターゴに捕らえられてから一緒の衛兵たちだったので、彼らのことを知っていました。わたしの好きな人たちです。

その夜、暗くなってきても、ユートとわたし、そしてラナは食事の列には並びませんでした。それでも、宿舎につながれた新入りの娘にやる食事の皿を、係の女の子に渡されたので、暗い囲いの中に、食べ物と水の入った袋を持って行きました。

とっても良い日だったから、わたしはごきげんでした。それに、夜が待ち遠しくてたまりません。

このときは、かつてリディウスのレディ・リーナであった新入りに、自分のペースで食事を取ることを許し、一度ならず水をあげました。

彼女は食べ終わるとわたしを見て、「口をきいても良いですか」 と訪ねました。

フードとさるぐつわと緊縛が、隷属を教え込んだのだと思いました。

「ええ」 とわたしは答えました。

「ありがとうございました」

わたしは彼女にキスをして、またさるぐつわをかませフードをかぶせました。 外に出ると水の袋を宿舎の扉にかけ、皿をさっきの娘に返しました。あの夜はその娘が炊事場の仕事をしていました。村娘の一人です。炊事場は囲いはなく屋根のある小屋で、木造の宿舎に隣接していました。娘は収容所の中でお皿を集めていました。それから他の北から連れてこられた村娘たちと一緒に炊事場に戻り、木の桶に腕を肘まで浸して皿洗いに取り掛かりました。ターゴは元からいた娘たちには、炊事場の仕事はさせませんでした。これはわたしたちにはありがたいことでした。こんなことは、北のブロンド娘にうってつけの仕事です。

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