<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
9. 小屋(1)
森に入るのは恐ろしかったが、選択の余地はなかった。
縛られた奴隷を操るのに、窒息の革ひもは最適の道具だ。絶対について行くしかない。少しでも抵抗すると首が絞まるのだ。
女たちは一列になり、森のはずれの藪や低木を抜け、すばやく進んだ。葉や小枝を踏む感触がした。止まるのは、枝をわきに持ち上げてよけたり、彼女たちが隠しておいた小さい槍や弓と矢を拾い上げる間だけ。どの女も、鞘に納めたスリーン・ナイフを腰に下げている。
背が高くブロンドの髪で、艶やかに美しいヴェルナは隊を率い、弓と箙(えびら・矢を入れて背負う武具)を背負い、槍を手に持っている。時折立ち止まり、様子を確かめるように耳を澄ましたり、顔を上げたりしては、再び進み始めた。わたしは縛られてたし、肌を保護するものを身につけていなかったから、打ち付ける木の枝から体を守れなかった。もし痛くて立ち止まったり、ぶつかってつまづいたりすれば、無情な窒息の革ひもはわたしの咽を締め付け、また前へと駆り立てる。
それから、恐らく1時間ほどこの責め苦が続いた後、ヴェルナが片手を挙げると、女たちが立ち止まった。
「ここで休憩する」
藪や生い茂る木々を抜けて進むのは大変だった。森の高木、巨大なツールの木のところへ着けば、たぶんもっと行程を伸ばせるようになりそうだ。
「ひざまずけ」と紐を持った女が言った。
わたしはひざまずき、深く息を吸い込んだ。
「快楽奴隷としてだ!」
さるぐつわをされていたので、いや!と首を振った。
「枝を切ってきてこの女をぶて」とヴェルナが言う。
わたしは目を見開き、やめて、やめてください!と首を横に振り許しを請うた。
命じられたとおりにひざまずいた。
女たちが笑っている。
ひもを持っていた女は、わたしの背中側でひもを輪にした。
わたしは手首の縛りのひもをぐっと引っ張った。
女は窒息のひもの端で容赦なく私の足首を縛り、首と足首でひもがピンと張るようにした。息もできないほど、頭が後ろに締め付けられる。
女が一人近くの木によじ登るとすぐに、月明かりの中、水の入ったひょうたんとちぎった肉を投げ落としていた。
女たちは木の葉の上にあぐらをかき、ひょうたんを渡したりして、肉を食べ始めた。
彼女たちは半円になって座って飲み食いし、わたしを見ていた。
「足首をほどいてやれ」 とヴェルナが言った。
ひもがほどかれ、咽の圧迫から解放された。
がっくりと頭を降ろした。
顔を上げるとヴェルナが目の前に立っていて、ナイフを顔に当てられた。
「傷をつけてやれ!」 とひもを持っていた女が言った。
おびえてヴェルナのほうを見た。
「男どもに気に入ってもらえなくなるほど、かわいくなるんじゃないかと心配か?」 とヴェルナが尋ねてきた。
わたしは目をつぶった。
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訳者の言い訳と解説
ですます調に挫折しました。
SM感はアップしたけど奴隷感がダウンしちゃったね。難しいっす。
ツールはゴルの植物で、高木。
確か材木としても使われるんだったと思う。