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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
6. 奴隷商ターゴとの邂逅(9)
でも大事なのは、わたしは助かったということです。すぐに地球への帰り道を買い取れるってことです。
きっと誰か見つかるし、ここにいなくても隣の町に、英語を話して、地球へ帰る旅行券を買える人と接触させてくれる人がいるはずです。
重要なことは、わたしは救助されて、安全だと言うことです。
わたしは救助されたのよ。
ターゴを不快に思い始めました。
それに、わたしの手首を二人の男が両脇で掴んでいて欲しくないと思いました。
手首をいらだたしげに引き抜こうとしましたが、当然自由にはできませんでした。
男も男の力も憎い。
ターゴは更に焦れてきていました。
「放してよ!放してってば!」
わたしは叫びました。
でも、放してもらうことはできませんでした。
もう一度、ターゴが忍耐強く、ゆっくりと話そうとしました。ターゴは怒ってきていると言えます。
この男はバカで、うんざりするほど頭が悪いんだわ。こいつらみんなバカなのよ。誰一人英語がわからないみたい。黒い船の人たちの、少なくとも一人は英語を話しました。背の高い男と会話しているのを聞きました。この世界には、英語を話す人がたくさん居るのに。大勢いるのに!
ターゴには飽き飽きしました。
「わからないわ」
大いに侮蔑と冷徹さを世界に響かせ、ターゴに言いました。尻目にもかけずそっぽをむき、身の程を知らせてやりました。
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