●それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。
これこそが宮部みゆきなんだよ!!という作品。
面白いです。
どうなるの?どうなるの?と読者を引き込む展開、
そして、すごく暗い。
希望はあるけど暗い。
宮部みゆき女史って、ストーリーの面白さもさることながら、
「三浦のような人間―今は大多数がそうなのだ―が満足感と幸福感を得ようと思ったら、もう足し算では駄目なのだ。引き算をしながら生きていくしかない」。
こういう、鋭く切り取る描写にゾクッとします。
今の宮部みゆきなら、もっと唸らせるクライマックスに持って行けると思うけど、
わたしはこういう終わり方も好きですね。
宮部作品を読んだことなくて、初めて読む1冊にも向いてます。
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