2009/07/11

ゴルの虜囚 63 【CAPTIVE OF GOR】

 
 → 読む前の注意
 → 目次

<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


6. 奴隷商ターゴとの邂逅(13)

 ターゴが大声で命令を下しながら、気遣わしげに見回しています。
 部下の一人が掛け声を上げました。
 娘たちが引き革につながれて、前かがみに荷車を引きました。
 男たちのうち二人が、後輪を押しました。
 荷車が動き出しました。
 革のバンドから身を傾けて、進んでいるふりをしました。
 この人たちが荷車を引くのに、わたしは必要ありません。前にも引いていたのですから。精一杯やっているかのように、草に足を突っ込みました。効果を上げるために、少しうっとうめいたりしました。
 ユートは嫌な感じの、疑いの目をわたしに投げかけました。ユートの小さな体は、紐に引っ張られていました。
 かまうもんですか。
 わたしは鞭で打たれ、痛みと屈辱に叫び声を上げました。
 ユートが笑っています。
 全体重を皮ひもにかけ、うめきながらありったけの力で進みました。
 荷車は動いています。
 1、2分すると、わたしがされたように、ラナが腰のくびれたところの下を鞭打たれ、屈辱と痛みに悲鳴を上げ、刺されたような赤い筋がひとつ残りました。他の娘たちが、わたしも一緒になって笑いました。ラナは人気がないんだなと思いました。ぶたれて良い気味だわ!あいつは怠け者よ!何でわたしたちがラナの分まで引っ張らなきゃならないの?わたしたちより優れてるとでも?
「ハル=タ!」ターゴが大声で言いました。「ハル=タ!」
「ハル=タ!」周りにいる男たちがどなりました。
 娘たちがいっそう精を出して引っ張り始めると、荷車のスピードが上がりました。時々男たちも車を押しました。
 二人の男が片側ずつに付き、わたしたちを鞭打って叱咤したので、わたしたちは痛みに悲鳴を上げました。
 これ以上できないくらい一生懸命引いているのに、ぶたれるのです!あえて抗議しませんでした。
 荷車は草深い野原をゴトゴトと進みました。

*:.:*・゜゚・*:.:*・゜゚・*:.:**・゜゚・*:.:*・゜゚・*:.:*・゜゚・*:.:*・゜゚・*:.:*
訳者の言い訳と解説
 反地球シリーズを1巻からお読みの方はご存知のとおり、
「ハル=タ」はゴル語で「早く」、です。



人気ブロaグランキングへ

0 コメント:

 

About Me