2011/03/28

ゴルの虜囚 89 【CAPTIVE OF GOR】

<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン

8. ローラの北での出来事(7)

乗組員の一人が鍵を持ってきて、奴隷の檻の入り口にかけた大きな南京錠を開け、ギシギシと音を立てて扉をひらきました。

衛兵たちが彼の後ろに立っています。

「奴隷たち、表に出ろ。一列縦隊」と衛兵のひとりが言いました。

ボスクにはもう引き具がついています。

一人ずつ檻から出ると、自分のカミスクを渡され、首輪をはめられました。首輪は長い縛りの紐に結ばれ、紐はそれぞれの首の周りに輪にして結び目を作り、次の娘に通されます。手足は自由でした。ローラのどこに逃げたら良いの?どこか逃げられるところは?

はだしで船から桟橋に降り、荷車の左側を歩きました。

密集した倉庫の間を曲がりくねる木で舗装された道へ、桟橋から長い木のスロープが続いています。わたしたちは首輪をされて道なりに行きました。ローラのにおいは気に入りました。川と木の香りとともに、森の前の生き生きとした草原の香りがします。どこかからローストタルスクのにおいがしました。ローラの東の石切り場で、四角く切り出されたみかげ石の乗った、革のレールのついたそりの間や、塩や魚の入った大小の樽の間を、わたしたちと荷車は通りました。それから森の向こうで捕れたスリーンの毛皮や豹の毛皮の梱の間も通りました。わたしは通り過ぎるときに、手を伸ばしてスリーンの毛皮を触りました。悪くない手触りです。道の端に立って、わたしたちが通るのを見に来ている男たちがいました。わたしたちは上等な商品なんだと思いました。わたしは男たちの方を見ずに、きわめて真っ直ぐに歩きました。するとある男が、わたしが通り過ぎるときに、後ろから手を伸ばし、ひざの後ろをつかみました。わたしは悲鳴を上げて飛びのきました。男たちが笑っています。衛兵がわたしと男の間に槍を持って割り込み、愛想なく「買ってくれ」と言いました。男は衛兵に謝るそぶりで深く頭を下げました。他の男たちは笑っていて、わたしたちは道を行き続けました。数分は男の手の感触が脚に残っていました。どうしたわけか、嬉しくなりました。誰もラナに触ろうと手を伸ばした男はいない!

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