ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
7. 他の女たちと、北方へ連れて行かれる(9)
わたしたちの生活は、ターゴが隊商に出会った後ぐっと楽になりました。
ターゴの買った二台の荷車は商人用です。後輪が前輪より大きく、一台を二頭のボスクが引きます。
ボスクは大きな茶色の生き物で、幅広い磨き上げられた角にはビーズがかけてありました。ひづめも光沢があり、長い毛むくじゃらの毛皮は毛づくろいされてつやがありました。
荷車の一台には足かせを止める横木がありました。もう一台には、草原で燃やして捨てたターゴの壊れたワゴンから取り付けました。
通常、女たちの十人は荷車に乗り、五人は脇でした。ラナは最初の、わたしのは二番目の荷車に乗りました。どちらの荷車にも九人ずつ女がつながれています。
ターゴは奴隷を二人売ってしまっていました。わたしたちは短い鎖につながった足かせをはめられていました。奴隷の片方の足首に足かせをはめ、鎖を横木に通してからもう片方の足首に次の足かせをはめて固定します。
どうでも良いと思いました。私たちが荷車の中でカミスクを許されていないことだって、気にかけさえしませんでした。荷車の磨かれた床に敷かれた幌布の上に横たわると、がたがたゆれ続けているにもかかわらず、たちまち眠りに落ちました。荷車を引く引き具と重労働からの解放は、それだけでこの上ない喜びでした。
何時間も後に目が覚めたとき、体中の筋肉がこわばって痛みました。
わたしたちは荷車から出され、外に鎖でつながれてひざまずき、食事を与えられました。隊商に出会う前の、わたしが捕獲されてから二日は、ベリーと水、衛兵が調理して投げ与えてよこす小さな猟鳥のかけらしか食べていませんでした。今では、鎖につながれて輪になってひざまずき、熱いスープの椀を回し飲み、それからそれぞれに黄色いパン一斤の六分の一を与えられ、手ずから食べました。そしてわたしたちの前の草の上に、衛兵は調理した大きな肉の塊を放りました。わたしはお腹が空いて死にそうだったから、指をやけどしながらそれを掴み、歯と手で引きちぎり半分を口の中に放り込むと、口の端を肉汁がしたたり落ちました。草の上に跪き、投げてよこされた肉を口で引き裂き、我を忘れて髪を振り乱し、肉汁を体にたらしている裸のゴルの奴隷娘が、洗練された趣味の良いエリノア・ブリントンとわかる友達は、いないだろうと思いました。単なる生焼けのローストしたボスクでしたが、むさぼるように食べました。奴隷商人の荷車の脇で、ゴルの草原の地面から掴み取った、熱く湯気を立て肉汁のあふれる生焼けのボスクの肉は、パリのレストランで味わったソースのかかったフィレ・ミニヨンに比べると、上品な味ではありません。
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